「天保水滸伝(柳蒼二郎 著 中公文庫)」を読む2025/04/07

 この「天保水滸伝」(428ページ)が手元にあったので、読んだ。
 登場人物は、平田造酒之進(平手造酒)、神崎(桑山)圭介、捨松(座頭市)、笹川の繁蔵、飯岡の助五郎などである。
 最後の章(第6章)は、大利根無情。
 この本に座頭市が登場したのには驚いた。 勝新太郎を彷彿させた。
 造酒が逗留している尼寺の「宝然尼が造酒を見詰めていた。瞳にかすかな炎が灯る。ついぞ見たことのない、それは情念の炎であった。」。
 このようなさりげない情念の書き方は藤沢周平の書きぶりを思い出させる。
 小説はやはり読むと面白い。

藤沢周平の作品2025/03/31

 藤沢周平の作品の一部分しか読んでいない。
 読んだ作品は、どれもこれも読み始めたら止まらない。
 筋書が奇想天外であるし、目の前に情景が浮かび上がってくる。
 ただ、私の住んでいるのが、佐賀であるので、「海坂藩」の冬空などの様子は実感がわかない。
 いずれにしても、機会があれば、彼の作品にはもっと触れてみたい。

藤沢周平作品へ戻る2025/03/26

 齢83歳になったのは、3月17日。
 年金生活が20年を超えている。
 年金以外の収入がないし最近の物価高にあえいでいるなかで、なかなか本を買う余裕がなくなってきている。
 図書館から借りることもできるが、返済期日の関係で 遅読の私は、なかなか図書館にはいかない。
 そのために、以前に買ってあまり読んでいなかった本を、再び読み始めた。
 ほとんどが文庫本である。寝ながら読むのにも文庫本は都合がいい。
 手元にある藤沢周平の作品も文庫本であり、「隠し剣 秋風抄(9篇)」と「隠し剣 孤影抄(8篇)」を立て続けて読んだ。
 この2冊に出てくる「女」の描写のうまさに驚く。
 昨日からは、「蝉しぐれ(上・下)」を読んでいる。
 この作品は、「三屋清左衛門残日録」と同様テレビドラマ化された。
 この「蝉しぐれ」の後は、「麦屋町昼下がり(5篇)」を読む予定である。

「日本の黒い霧」と日本の軍事化の深化2025/03/16

 「日本の黒い霧」の最終章は、「謀略朝鮮戦争」である。 この「日本の黒い霧」に書かれた事件は、アメリカ軍が占領していた間に起こっている。
 そして、これらの事件が「朝鮮戦争」へと収斂していくとの見方は納得がいくものであった。
  今日の新聞は、「九州に敵基地攻撃可能な長距離ミサイル配置の検討が始まった」と伝える。いわゆる台湾有事に備えるというのだ。
 このような動きを示す昭和100年の帰結が、軍事国家の深化である。
 もちろん、政治資金(裏金問題)の解明は重要であるが、平和国家構築も忘れられたら困る。
 米国の共産圏包囲網の施策に翻弄されてきた戦後日本の歩みを知るにつけ、戦後日本の歴史に学ぶことも必要である。

昭和史 戦後篇(1945-1989)2025/03/04

 昭和史 戦後篇は、つい最近新版として発売された。
 昭和史(1926-1945)のいわば続編のようなものだ。
 戦後篇の「こぼればなし 昭和天皇・マッカーサー会談 秘話」が付録として加えられている。
 半藤一利の「日本で一番長い日」が先日NHK BSで上映された。
 この2冊の昭和史では、昭和天皇の記述に興味があった。
 昭和天皇にかかるポツダム宣言から、いわゆる東京裁判、人間宣言、戦後の巡幸などのエピソードには知らなかった部分もあった。
 今年は、昭和100年といわれる。 1926年から2025年の100年間の内、私は間もなく来月で83歳となる。 戦前の16年間が除かれる。
 2・26事件、阿部定事件は私が生まれる前の1936年に起こった。
 まさに、「昭和は遠くなりけり」である。
 

映画「ら・かんぱねら」を観た。2025/02/14

 この映画は、九州・佐賀の有明海で、海苔師として生きてきた男が、フランツ・リストの「ラ・カンパネラ」を独学で習得した物語である。
 これは、実話をもとにした映画で、大空真弓さんも出ていたのには驚いた。
 出演者は、伊原剛志、南果歩、不破万作、緒方敦らであり、監督は鈴木一美である。
 厳しい海苔生産の実態や夫婦愛、家族愛はじめ、ところどころユーモアが織り交ぜられた映画である。
 この映画は、佐賀市で先行上映されている。
 連れ合いと観た。  いい映画だった。

「夜と霧」2025/02/08

 かねてから、開いては読まずにいた、「夜と霧」(2012年7月13日 第18刷 みすず書房 新版 池田香代子訳)を読み終えた。
この本は、2012年8月3日に購入していたものであるから、12年ぶりに読んだことになる。
 アウシュビッツ(ポーランド)とダッハウ(ドイツ)の収容所内での話が続く。 
 2011年3月や2024年1月の大災害に遭遇された人々の生きざまを知る由もない私は、この本に描かれた人間の姿から、大災害に合われた方々への思いを新たにする。
 著者のヴィクトール・E・フランケルの両親、妻は、或いはガスで殺され、或いは餓死した。
 ユダヤ人であった彼がこの本の中で、ナチドイツをあしざまに書いていないのは何故だろうか。
 この本は、また読んでみたい。

家永三郎著「戦争責任」を読んで2025/02/06

 家永三郎著「戦争責任」(岩波現代文庫 2006年4月14日 第6刷発行)を読んだ。この本は2010年8月23日に購入していたもので、最後まで読んだのは、初めてであった。
 いわゆる15年戦争についての、戦争責任を問うものである。
 昭和天皇をはじめ15年戦争に関わった者(国内外にわたる)の戦争責任を問うものである。
 今は、「新しい戦前」ともいわれる。
 この本の解説は澤地久枝が書いている。この本は、今でも立派な教えに満ちている。
 歴史の一部を垣間見た感がする。

長時間の東映時代劇だった2025/01/05

 「徳川風雲録 御三家の野望」をyoutubeでみた。
 9時間43分26秒の時間であった。 この映画の脚本家、監督が変わるのも珍しい。
 北大路欣也とその父(市川右太衛門)の共演も見られた。
 徳川8代将軍 吉宗の物語である。
 物語につきものの偶然も多いが、面白かった。

すでに4日目2025/01/04

 2025年1月4日となった。
 子ども家族4人が2日夕方にきて、昨日昼過ぎに帰った。
 年々、正月気分が薄れていき、特段の感動などは失せてしまった。
 昨年末から今年初めにかけて、9連休の人もいると聞く。
 娘とその夫、次男は昨年12月25日から28日に台湾旅行した。
 その台湾旅行は、いわゆるツアーグループでなく、自分たちの単独行動であったと聞いて、びっくりした。
 娘は、単独でシンガポール・インドネシアなどに仕事で赴くらしいので、台湾旅行もできたのだろう。
 台北のホテルで、大谷の50-50記念ボールのモニュメントも見学したらしい。
 子どもや孫の成長ぶりを目の当たりに知ることは、うれしい限りである。
 今読んでいる文庫本は「ソ連が満洲に侵攻した夏 」である。
 この作品の著者の半藤一利の連れ合いは、夏目漱石の孫である。
 著者は、昭和史に詳しい。彼の書作は、平易な文で読みやすい。
 彼の著作から、現在の日本の状況を見つめなおすことができるのではないか。